BLOG

煉獄杏寿郎

2025/08/01

老いることも死ぬことも、美しさだ ——煉獄さんの言葉から考える“儚さ”と身体の尊さ

「老いることも死ぬことも、人間という儚い生き物の美しさだ。老いるからこそ、死ぬからこそ、堪らなく愛おしく尊いのだ」

この言葉を初めて聞いたとき、胸の奥をぎゅっと掴まれたような感覚がありました。これは、アニメ『鬼滅の刃』の登場人物、煉獄杏寿郎のセリフです。彼は、命をかけて鬼と戦い、数多くの人々を守った炎柱。彼の死は、多くの人の心に深く刻まれました。

しかしこの言葉は、ただの名言として片づけるにはもったいないほど深く「人間として生きていく意味」「身体とどう向き合うか」ということを教えてくれます。

整骨院の院長として日々、身体の痛みや不調を抱える方々と向き合っている中で、私もまた、人間の「老い」や「身体の限界」と常に向き合っています。

■ 煉獄さんが受け継いだもの

煉獄さんの過去を振り返ると、決して順風満帆な人生ではなかったことがわかります。母を病で亡くし、父は心を閉ざし、弟の面倒を見ながら、ただ一人で「強さ」を貫いてきた人物です。

彼が大切にしていたのは「心を燃やし続けること」。

誰よりも不器用で、誰よりも真っすぐで、誰よりも“人間”らしい人でした。

そして彼が最期に遺したこの言葉は、自分の命の終わりを悟りながらも「人間の弱さを否定するのではなく、受け入れてこそ美しい」と教えてくれているように感じます。

これは医療や介護、そして我々のような身体に携わる現場でも、深く共通するテーマです。

■ 「老いる」ことに目を背けない

近年、アンチエイジングや健康寿命という言葉が流行し、いかに若々しく、いかに衰えを遠ざけるかが重視されるようになりました。

もちろんそれ自体は悪いことではありません。元気で長生きできるのは素晴らしいことです。

でも、老いを“避けるべきもの”“悪いもの”と考えてしまうと、年齢を重ねることが否定されるような、そんな風潮になってしまう。

煉獄さんは「老いることそのもの」に美しさがあると言います。
シワが刻まれること、体が少しずつ動かなくなること、かつてのように思い通りにいかないことも、すべてが「人としての証」であり「歴史」なんです。

整骨院で出会う患者さんの中にも、「歳だからしょうがないよね」と半ば諦めながら来院される方がいます。

私はその「しょうがない」を「どう向き合うか」「どう大切にするか」に変えていきたいと思っています。

老いを受け入れ、向き合うということは、自分の身体と丁寧に向き合うということでもあるのです。

■ 「死」を意識することの尊さ

煉獄さんの言葉の後半は「死」について語っています。人間は死ぬからこそ、今が大事であり、今この瞬間が尊いのだと。

医療や施術の現場では、時に「命の終わり」に直面することもあります。

交通事故、脳梗塞、がんなどの疾患——それらが「ある日突然」やってくることもある。

整骨院は命に直結する現場ではありませんが、それでも「身体の不調」が生活の質(QOL)を著しく下げることは珍しくありません。

膝が痛くて旅行を諦めた
腰が痛くて孫を抱けなかった
手のしびれで趣味をやめてしまった

そういう「日常の小さな死」を積み重ねてしまう方が多いのです。

だからこそ私は、今を大切にしてもらいたい。
「身体が動くうちに」「痛みが軽いうちに」来てほしいのです。

生きているからこそ、身体がある。
そしてその身体を、今どう使うかが、人生をどう生きるかに繋がっているんです。

■ 最後に

煉獄さんの「老いと死は人間の美しさ」という言葉は、決して“諦め”ではなく、“受け入れ”であり、“愛しむこと”だと私は感じています。

私の仕事は、そうした「人間の儚さ」や「弱さ」に寄り添いながら、その中にある力強さを引き出していくこと。

痛みを取るだけでなく、「人としての時間」を大切にできるように、今日も患者さんと向き合っています。

もし、あなたが今、身体の不調や不安を感じているなら、ぜひ一度、お話を聞かせてください。
煉獄さんほど立派な言葉は言えませんが、あなたの“今”を大切にできる施術を、ここで一緒に考えていきましょう。