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「ちょっと診て」は困る

2025/07/28

居酒屋やスナックで初対面の人によくこんなことを言われます。

「実は肩が痛くてさ、ちょっと見てよ」「腰がギクッてなってて、今ちょっと触ってもらえない?」

──正直、これが一番困ります。

 

もちろん、体の悩みを相談してもらえること自体はありがたいことですし、信頼の証だとも思います。ただ、問題なのは「その場で施術を求められる」こと。飲酒の場だったり、衛生的な環境が整っていないところで身体を診るのは、専門職としてのリスクが大きすぎます。

 

私はこう答えるようにしています。

「飲酒後の施術は、飲酒運転と同じくらい危険ですから対応できません」

「きちんと検査して診る必要があるので、ぜひ来院してください」

ときには「お酒の場で体に触るのはセクハラにもなるご時世なので」と冗談交じりにやんわり断ることもあります。

 

こういった場面、実は「ハラスメント」に該当することもあります。明確な名称こそまだ定着していませんが、「職業ハラスメント」として認識され始めています。

「プロなんだから、ちょっとぐらい見てくれてもいいじゃない」

こういった発言は、相手の専門性を軽視している無意識の圧力。善意を前提とした無償の要求は、決して軽いものではありません。

 

整骨院の施術は、問診・検査・触診など、プロセスを踏んでこそ本来の効果を発揮します。だからこそ「ちょっと」や「その場で」は対応しないのがプロとしての責任でもあります。

 

もちろん、体の不調に悩んでいる方がいれば、いつでも真剣に対応したいと思っています。でもそれは、整った環境の中で、きちんとした形で向き合うからこそ意味があるのです。

整骨院の院長として、そして一人の施術家として、

“場を選ばない無償の施術依頼”には、やんわりと、でもしっかりと線を引いていくことが、これからの時代には必要だと強く感じています。