投票をバカにするな
7月25日放送の「羽鳥慎一モーニングショー」にて、元テレビ朝日社員・玉川徹が、与党の衆参過半数割れを受けて、野党が連立政権に加わるべきではないという見解を示した。しかしこの発言は、現実政治の責任や有権者への誠実さを欠いた、極めて短絡的かつ無責任な暴論ではないかと感じる。
玉川は、「今、与党と連立するのは自民党を助けることになる。そんなことをして党勢が伸びるのか」と語ったが、政党の本来の役割は「党勢拡大」よりも「国民のために機能する政権を作ること」である。国家運営が困難になっている今こそ、建設的な議論と協力が必要なのに、政局ばかりを優先するような論調は本末転倒である。
特に「平時に連立する意味はない」との発言は、国民生活の危機感を全く理解していない証左だろう。物価高、少子化、エネルギー問題など課題山積の中で、政治的安定は“非常時”そのものだ。そこに手を貸すことが「悪」だとするような姿勢は、もはや政権批判ではなく、単なる扇動にすぎない。
さらに「国民民主が入るには減税を飲ませるしかない」「維新と組んでも党勢は伸びない」などと語り、まるで連立=自滅であるかのような見方を繰り返していた。だが、野党が与党と協議し、政策実現に責任を持つ姿勢こそが、政治の成熟であり、有権者の信頼に繋がる。
過去の社会党を引き合いに出して「自民と組めば党は消える」と断じた点も、あまりに乱暴だ。時代も政策も異なる中で、表層的な失敗例だけを持ち出し、今の政党の決断を牽制するような言説は、冷静な議論を妨げる。
玉川のような影響力あるコメンテーターこそ、対立構造を煽るのではなく、対話や妥協の重要性を伝えるべきだ。今求められるのは、政党同士が「自民か反自民か」の二元論に囚われず、現実に即した責任ある政治を模索する姿勢である。
テレビという公の場で、単なる“反与党”の立場に固執するような発言は、社会に不要な分断を生み、政治不信を深めるだけだ。玉川には、国民全体の利益を見据えた発信を強く求めたい。